愛猫が亡くなったあとにすべきことは?お見送りの流れを丁寧に解説

かけがえのない思い出をくれた愛猫とのお別れ。

その現実に直面している今、飼い主様は深い悲しみと動揺の中で、何をすれば良いのかわからず、呆然としていらっしゃるかもしれません。しかし、大切な愛猫を安らかに送り出すために、最後にできることがいくつか残っています。

この記事では、突然のお別れでつらい思いをされている飼い主様のお気持ちに寄り添い、愛猫が亡くなった直後から必要となる対応を時系列でひとつずつ、わかりやすくご紹介します。

目次

愛猫が旅立った直後にすべきこと

愛猫をきちんとお見送りするため、飼い主様が最初に行うべき具体的な手順を解説します。

まずは落ち着いて、死亡の確認を

突然の別れに戸惑い、混乱されるのはとても自然なことです。まずはご自身の心を少しでも落ち着かせ、愛猫の状態を冷静に確認しましょう。

  • 呼吸の停止:お腹や胸の上下運動が完全に止まっているかを確認します。
  • 心拍の停止:胸のあたりにそっと手を当て、心臓の鼓動(心拍)が感じられないかを確認します。
  • 瞳孔の反応:目に光を当てても、瞳孔が開いたまま反応しない(対光反射の消失)かを確認します。

ご自身での判断が難しい場合や、まだ温もりが残っているように感じる場合は、すぐに動物病院へ連絡しましょう。獣医師による死亡確認が、最も確実な方法です。

死後硬直が始まる前に、安らかな姿勢へ

猫の場合、亡くなってから約2時間ほどで「死後硬直」と呼ばれる現象が始まります。体が徐々に硬くなり始めると、手足が伸びたままになってしまうことがあります。そうなる前に、愛猫が生前眠っていたときのように、手足の関節を胸の方へやさしく折り曲げ、自然な体勢に整えてあげましょう。

目や口が開いたままになっている場合は、そっと閉じてあげてください。もしうまく閉じなければ、無理に閉じる必要はありません。お顔の上に清潔なガーゼやハンカチをそっとかけてあげましょう。

すでに硬直が始まっている場合は、無理に体勢を変えようとせず、そのままの姿で安置してあげてください。

お体を清め、きれいに整える

きれいな姿で旅立たせてあげるために、「エンゼルケア」と呼ばれる最後のお手入れを行います。これは、愛猫の尊厳と、飼い主様の心を守るための大切な処置です。

まず、お湯で湿らせたガーゼやタオルなどを固く絞り、お顔や体全体をやさしく拭き、汚れをきれいにしてあげましょう。

亡くなった後は、お尻や口、鼻などから体液や汚物が出てきてしまうことがあります。その場合はきれいに拭き取り、漏れを防ぐためにコットンやガーゼをそっと詰めてあげてください。

最後に、愛猫がいつも使っていたブラシで毛並みをやさしく整えてあげましょう。

ご遺体を適切に冷却し、安置する

火葬までの間、ご遺体が傷まないようにしっかりと冷やしてあげることが大切です。保冷剤やドライアイスはタオルやガーゼで包み、ご遺体に直接触れないよう配置しましょう。特に頭部とお腹のあたり、そして脇の下を中心に、ご遺体全体を冷やします。

次に、棺となる箱を準備します。愛猫の体がゆったりと納まる大きさの段ボール箱や、生前お気に入りだったケージ、キャリーケースなどがよいでしょう。棺の底には、体液が漏れても大丈夫なようにペットシーツや新聞紙を隙間なく敷き詰めます。その上にバスタオルや毛布などを敷き、愛猫をやさしく寝かせましょう。

棺の中には、生前好きだったタオルや、少量のおやつ、おもちゃなども一緒に入れてあげることができます。ただし、火葬の際に一緒に燃やせないもの(プラスチック、金属、化学繊維など)は避け、生花やお手紙など、燃えやすいものを選びましょう。

ご遺体は、夏場であれば1〜2日、冬場で暖房が入っていないお部屋であれば2〜3日ほど、ご自宅で安置できます。できる限り室温20度以下の涼しい場所で、安らかに眠らせてあげてください。

後悔しないために知っておきたい、供養の方法

安置が済んで、飼い主様の気持ちが少し落ち着かれたら、次に愛猫をどのように見送るかを考えます。ここでは、主な供養の方法をご紹介します。

専門業者による火葬

専門業者によるペット火葬には、主に3つの種類(プラン)があります。

  • 合同火葬:他のペットたちと一緒に火葬する方法です。費用を抑えられますが、個別のご返骨はできず、共同墓地や合同供養塔に納骨されるのが一般的です。
  • 個別一任火葬:ペットのご遺体を葬儀社に預け、スタッフが個別に火葬する方法です。ご返骨は可能で、火葬に立ち会うのがつらい場合や、時間がない場合に選ばれています。
  • 個別立会火葬:ご家族が立ち会いのもと、火葬からお骨上げまでを見届ける方法です。人のお葬式に最も近い形で、最後まで寄り添って丁寧にお別れができます。

ご家族の想いに合った方法で、愛猫への感謝を込めたお見送りを行いましょう。

自治体(行政)による引き取り

お住まいの地方自治体に、ご遺体の引き取りを依頼する方法です。費用は安価な場合が多いですが、自治体によって対応は大きく異なります。

多くの場合、法律上は「一般廃棄物」としての扱いとなり、供養ではなく「処理」の一環として、他の方のペットと一緒に火葬(合同火葬)されます。そのため、ご遺骨の返還や火葬の立ち会いは基本的にできません。

私有地への埋葬(土葬)

ご自宅の庭など、ご自身の私有地に埋葬する方法です。費用がかからず、いつでも手を合わせることができる身近な方法ですが、注意点も多くあります。

法律上、埋葬が許されるのはご自身の私有地のみです。公園や山林、河川敷など、他人の土地や公共の場所に埋葬することは「不法投棄」とみなされ、罰せられる可能性があります。

また、衛生面(悪臭や害虫の発生)、野生動物による掘り起こしのリスク、ご遺体が土に還るまで非常に長い時間がかかること(環境によっては十数年)、さらには将来、土地を売却したり引っ越したりする際に支障が出る可能性も十分に考慮しましょう。

火葬後のご遺骨の供養スタイル

火葬を選んだ場合、ご遺骨をどのように供養していくか、いくつかの選択肢があります。

  • 自宅での手元供養:ご遺骨の入った骨壺を、ご自宅のリビングや寝室など、身近な場所に安置する
  • 納骨堂・霊園への納骨:ペット霊園のお墓や納骨堂にご遺骨を納める
  • 自然へ還す供養:ご遺骨を粉末状(粉骨)にして、海や山へ散骨したり、樹木を墓標とする「樹木葬」を行ったりする

どの方法が最も良いとは一概に言えません。ご家族でよく話し合い、何よりご自身の「心が納得できること」を大切にして選んでください。

お別れのあとで必要な手続きと、遺品の整理

お見送りが一段落したら、事務手続きや愛猫が残した愛用品の整理を行いましょう。

公的な届け出をする

お別れの後、いくつか必要な手続きがあります。

手続き概要
マイクロチップ登録の抹消手続き愛猫にマイクロチップが装着されていた場合は、環境省の指定登録機関へ「死亡の届出」をします。オンラインまたは郵送で、登録証明書に記載されている「マイクロチップの識別番号」と「暗証記号」を使って手続きを行います。
ペット保険の解約手続き保険会社に連絡し、解約手続きを進めます。その際、まだ請求していない治療費が残っていないかもあわせて確認しましょう。保険によっては、火葬・葬儀費用の一部や、死亡見舞金が受け取れる場合もあります。
血統書登録の抹消血統書団体に所属していた場合は、団体へ連絡し、亡くなった旨を伝えて登録抹消などの手続きを確認します。多くの場合、「血統書の返還」や「死亡日の確認」が必要です。

残されたフードや遺品は「寄付」という選択肢も

愛猫が旅立った後、残されたキャットフードやおもちゃ、猫砂などを見るたびに、胸が締め付けられる飼い主様は少なくありません。それらをすぐに処分するのはつらい、と感じる場合は「寄付」という選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。

愛猫が生きた証と、飼い主様の深い愛情を、今まさに必要としている保護猫たちに届けることは、愛猫への何よりの供養になるかもしれません。

多くの保護猫団体や保護猫カフェ、動物愛護センターでは、未開封で賞味期限内のキャットフードや、猫砂、ペットシーツなどの寄付を受け付けています。

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悲しみを癒やす時間を持つことも大切に

大切な愛猫を亡くした深い悲しみは、「ペットロス」と呼ばれ、誰にでも起こりうる自然な感情です。

「いつまでも悲しんではいけない」「早く前を向かなければ」と、無理に気持ちを切り替えようとする必要はありません。泣きたいときは思い切り泣き、悲しみをご自身で受け止めてあげることも、愛猫への大切な供養の一つです。

思い出の写真を飾ったり、ご家族やご友人と愛猫との楽しかった思い出を語り合ったりすることも、心を癒やすための助けになるでしょう。

そして何よりも、愛猫が安らかに旅立てるよう、ここまで心を込めてお見送りされたご自身の行動が、これからの日々を支える力になるはずです。

愛猫への感謝を込めて、安らかな旅立ちを

愛猫が亡くなった直後は、誰もが深い悲しみと動揺の中にいます。そんな中、飼い主様に必要なのは「落ち着いて行動すること」です。この記事で紹介した手順を参考に、愛猫をお見送りしてください。

もし、供養の方法で迷われたり、何をすればよいか不安に感じられたりしたときは、決して一人で抱え込まないでください。SEE YOU AGAINは飼い主様のお気持ちに寄り添い、心を落ち着けるためのお手伝いをさせていただきます。

この記事が、飼い主様が愛猫との最後の時間を、穏やかで心温まるものにするための一助となれば幸いです。

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この記事を書いた人

ペット火葬・出張火葬専門シーユーアゲイン編集部です。大切な家族であるペットに最後にしてあげられる火葬、葬儀について情報発信していきます。残念ながら死は誰にも訪れます。突然訪れることもあります。最後の最後に後悔しないよう「今できること」を一緒に考えていければと思います。

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