多くの飼い主様にとって、かけがえのない家族であるペットが旅立った直後に、気丈に振る舞うことは難しいものです。しかし、現実として「仕事はどうしよう…」という悩みが心に重くのしかかっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな辛い状況にいらっしゃる飼い主様のために、後悔のないお別れと円満な職場生活を両立させるための方法を解説します。心の痛みと向き合いながら、ご自身にとって最善の選択をするための参考にしていただければ幸いです。
ペットが亡くなったときでも仕事は休める？
深い悲しみの中、すぐに仕事へ向かうのは精神的に非常に辛いものです。ここでは、ペットとのお別れのために仕事を休む際に知っておきたい、社会的なルールや制度について解説します。
忌引き休暇は適用されない
原則として、多くの企業ではペットの死を理由とした忌引き休暇は認められていません。忌引き休暇は、法律で定められた制度ではなく、あくまで会社の福利厚生の一環です。一般的に、その対象は配偶者や近親者に限定されます。
近年では「ペット忌引き制度」を独自に設ける企業も少しずつ増えてきてはいますが、まだ広く浸透しているとは言えないのが実情です。
有給休暇は心置きなく使える労働者の権利
ペットとのお別れのために休む場合、最も現実的な選択肢は有給休暇を取得することです。有給休暇は、労働者に与えられた正当な権利で、その取得理由を会社側が問うことは原則としてできません。
「ペットのために休むのは申し訳ない…」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、そのように思う必要はありません。大切な家族との最後のお別れをするために、心置きなく有給休暇を利用してください。
有給休暇がない場合は「欠勤」扱いになることも
入社して間もないなどの理由で、有給休暇が付与されていない場合は「欠勤」として休むことになります。欠勤は評価や給与に影響することがあるため、十分に検討した上で判断しましょう。
ペットが亡くなったことを職場に伝えるべき？
休みを取得するにあたり、その理由を正直に話すべきか、伏せるべきか、多くの方が悩む問題です。ここでは、ご自身の職場の状況に合わせて判断するための考え方をご紹介します。
飼い主様の気持ちを「理解できない」人もいる
「ペットは家族」という考え方は社会に広まりつつありますが、残念ながら誰もが同じ価値観を共有しているわけではありません。特にペットを飼った経験がない方にとっては、その喪失感がどれほど深いものか、想像するのが難しい場合もあります。
飼い主様の悲しみに心から共感し、親身になってくれる同僚がいる一方で、そうでない反応を示す人がいるかもしれない、という現実も心に留めておきましょう。
周囲の反応が不安な場合の伝え方
職場の雰囲気や人間関係を考慮し、本当の理由を話すことに不安を感じる場合は、理由を伝えずに休むという選択肢も間違いではありません。理由を話さないことで、心ない言葉をかけられたり、不要な憶測を招いたりするリスクを避けることができます。
その際は、「体調不良のため」「急な私用（家事都合）のため」といった当たり障りのない理由を伝えましょう。本当の理由を伝えないことに対して、罪悪感を持つ必要はありません。
連絡する際に必ず押さえるべき社会人マナー
どのような理由で休むにせよ、職場への配慮は不可欠です。まずは、会社のルールに則った方法（電話、メール、チャットツールなど）で、できるだけ早めに連絡しましょう。
急な休みで迷惑をかけてしまう分、ご自身が担当している業務の進捗状況や、急ぎの案件の有無などを明確に伝え、引き継ぎをしっかり行うことも大切です。可能であれば、休み中の緊急連絡先を伝えておくと、周囲も安心してフォローできるでしょう。
仕事の休みが決まった後にすべきこと
無事にお休みを取得できたら、その貴重な時間をどのように過ごせばよいのでしょうか。ここでは、心ゆくまでお別れをするための過ごし方についてご提案します。
心ゆくまでお別れの時間を持つ
お休みを取ることができたら、慌てずに、ゆっくりとペットとの最後の時間を過ごしてください。まずはご遺体をきれいに整え、涼しい場所に安置してあげましょう。そして、信頼できる葬儀社を探したり、生前大好きだったおやつやお花を飾ったりと、その子らしいお見送りの準備を進めてください。
形式的なこと以上に大切なのは、ご家族で思い出を語り合い、「ありがとう」の気持ちを伝えることです。写真を見返したり、やさしく体を撫でてあげたりしながら、穏やかな時間を過ごしましょう。
ご自身の心をゆっくり休ませる
ペットを失った悲しみ、いわゆる「ペットロス」は、心身に大きな影響を及ぼす自然な感情です。無理に気丈に振る舞ったり、悲しみに蓋をしたりする必要は全くありません。
このお休みの期間は、ペットのためだけでなく、ご自身を労わるための時間でもあります。食事や睡眠をきちんととり、心と身体を休ませてあげてください。涙があふれてくるときは、我慢せずに思いきり泣くことも、心を癒すための大切な過程です。
どうしても仕事を休めない場合の選択肢
職場の状況や仕事内容によっては、どうしても急な休みが取れないこともあるでしょう。しかし、休めなかったからといって、お見送りができないわけではありません。
週末や業務時間外にお見送りをする
近年、飼い主様の様々な事情に対応するため、24時間体制や夜間の火葬を受け付けているペット葬儀社が増えています。仕事が終わった後や、次の週末に合わせてお見送りの時間を作ることも可能です。
また、火葬設備を搭載した車で自宅まで来てくれる「訪問火葬」を利用すれば、移動の手間なく、住み慣れた我が家からペットを送り出してあげることができます。
ご遺体を安置して日程を調整する
ご遺体を適切に安置すれば、数日間はそのきれいな姿を保つことが可能です。保冷剤やドライアイスで身体をしっかりと冷やし、エアコンの効いた涼しいお部屋で休ませてあげましょう。
仕事の都合がつく日に改めて火葬の予約をし、それまでの間は、ご自宅でゆっくりとお別れの時間を過ごすという選択肢もあります。焦らず、ご自身のペースでお見送りの準備を進めてください。
まとめ｜後悔のないお見送りを
ペットが亡くなった際に仕事を休むかどうか、その伝え方にも、唯一の「正解」というものはありません。職場の環境やご自身の心の状態、そして何よりも「どうすれば後悔なくお見送りできるか」を考え、ご自分で選択することが大切です。
どのような形であれ、飼い主様が「愛するペットのために最善を尽くせた」と思えること、それが一番の供養になります。ペットとの別れは計り知れないほど辛いものですが、その経験は、私たちに命の尊さや深い愛情を気づかせてくれるものでもあります。
私たち「SEE YOU AGAIN」は、そんな飼い主様のお気持ちにいつでも親身に寄り添い、後悔のないお別れの形を一緒に考えさせていただきます。どんな些細なことでも、どうぞお気軽にご相談ください。
